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「やりがいを感じない部分がない」といっても過言ではないほど、やりがいが多い仕事だと感じています。
そして、これこそが私にとっての天職だと確信しています。

オホーツク農業共済組合 北見家畜診療所

出身大学:
酪農学園大学
卒業年次:
平成19年(2007年)
現在の所属:
オホーツク農業共済組合 北見家畜診療所

卒業後現在までの略歴

平成19年
北見地区農業共済組合
平成20年
合併によりオホーツク農業共済組合 北見家畜診療所

現在の職場に決めた理由を教えていただけますか?

私が最初に大動物関係の仕事に就きたいと思ったのは、大学2年生の頃です。もともとは小動物臨床がしたいと考えていたのですが、乳牛共進会が主催している「ホルスタインナショナルショウ」という乳牛の審査をするイベントをたまたま目にしたのを機に、牛の魅力に目覚めました。そのイベントで登場する牛たちはみんなきれいに手入れされていて、これまでに見たことがないその美しさに衝撃を受けたのです。それ以来、牛に関わる職業を志すようになりました。当初は受精卵関係の仕事なども気になっていたのですが、大学教授から「北見地区NOSAIで新卒獣医師を募集している」と声をかけていただき、こちらに入ることになりました。

産業動物獣医師としての仕事の、どこにやりがいを感じますか?

私は現在、主に牛(まれに馬)の診療・授精業務を担当しています。「やりがいを感じない部分がない」といっても過言ではないほど、やりがいが多い仕事だと感じています。大好きな牛とのふれあいも楽しいですし、私にとってこれこそが天職だったのだと確信しています。もちろん、大動物を扱う仕事は決してラクなものではありません。牛というのは非常に身体の大きな動物ですから、危険は常に背中合わせ。私も大けがをしてしまったことがありますが、それでも辞めたいと思ったことは一度もありません。特に強い達成感を味わえるのは、死にかかっていた牛が治療後に回復し、元気になったのを見るとき。何年働いても、その充実感は薄れることがありません。

仕事をする中で、女性でよかったと思ったことはありますか?

昔は女性の産業動物獣医師が少なく、大動物を扱うのは男性の仕事と言われた時代もあったようです。しかし、私がこの仕事を始めた頃にはすでに女性の先輩もたくさんいらっしゃいましたし、特に困ったことはありません。もちろん、男性と比べると筋力や身長で劣る部分もありますが、機材をうまく利用したりすることで問題なくカバーできています。逆に女性でよかったと思うのは、農家の皆さんに「話しやすい」と感じていただき、いろいろお話ししていただきやすいこと。気遣いを示していただき、嬉しく思うことも多いです。

妊娠中の業務で苦労したことはありますか?

幸い同じ職場に先輩女性獣医師が4人もいらっしゃるので、女性の出産や育児についてはとても理解がある職場です。ただ、どうしても産休に入る本人としては「周りに迷惑をかけてしまい申し訳ない」という気持ちや、「職場を離れることで獣医師としての技量が落ちてしまうのではないか」といった不安があるもの。私の場合、3人目の子どもを妊娠中に少し無理をしてしまい、切迫早産となりました。幸いにも数日の入院で済みましたが、「助けてくれる同僚がいるのだから、遠慮なく甘えなさい」と先輩にお叱りを受けました。恵まれた職場に入ることができたことに、本当に感謝しています。

育児とお仕事の両立は大変だと思いますが、乗り越えるコツはありますか?

昨年5月に3回目の育児休暇明けで仕事復帰し、今もバタバタした毎日を送っています。仕事に行く前も帰宅してからもとても忙しくて大変ですが、夫や職場の皆さんのフォローのおかげもあり、元気に頑張っています。忙しい状況を上手に乗り越えるコツは、特にありません(笑)。ただ、私はどちらかというと細かいことをあまり気にしない性格なので、物事に対して必要以上に「絶対にこれをやらなきゃ」と神経質にならずに済んでいるとは思います。たとえば子どもが急に病気にかかり仕事を休まざるを得ないときなど、最初の頃は周りに迷惑をかけたくなくて無理やり出勤したこともありました。でも、先輩方から「お互い様だから大丈夫だよ」と声をかけてもらってから、育児のために休むことも仕方のないことなのだと割り切れるようになりました。その分、他の人が休んだときには積極的にサポートするようにしています。

これから獣医師を目指す学生さんや、現在活躍中の女性獣医師のみなさんに伝えたいメッセージをお願いします!

3回にわたり育休を取得できたのも、欠員状態で文句をいわず頑張ってくださった先輩方のサポートのおかげです。私の場合は本当に恵まれた環境で働けたと感じていますが、職場によってはまだ女性が少なく、十分なサポートがいきわたっていないこともあるかもしれません。しかし、今は全国的に女性獣医師が増えている時代ですし、出産・育児と仕事の両立に遠慮をする必要はないと思います。ぜひ、皆さんも率先して女性が働きやすい職場づくりに取り組んでください。思いやりのある職場が、ひとつでも日本に増えることを願っています。