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100%の時間を仕事・家事・育児に費やせない分、努力や工夫を惜しまないことで、
周囲の理解も得られるものだと思っています。

農林水産省動物検疫所企画管理部危機管理課 主任

出身大学:
麻布大学
卒業年次:
平成10年(1998年)
現在の所属:
農林水産省動物検疫所企画管理部危機管理課

卒業後現在までの略歴

平成10年
動物検疫所成田支所検疫第2課
平成11年
動物検疫所名古屋支所検疫課
平成13年
経営局女性・就農課
平成15年
消費・安全局動物衛生課
平成18年
大臣官房国際部国際経済課
平成21年
消費・安全局動物衛生課
平成23年
動物検疫所企画管理部危機管理課(現職)

動物検疫所ではどのようなお仕事をされているのですか?

動物検疫所とは、家畜伝染病の国内侵入を水際で防ぐ第一線の現場です。「獣医師の知識を活かし、日本の畜産を守るためバリバリ働いてみたい!」というのが志望理由でした。入所後は成田支所、名古屋支所での検疫業務を経て、平成13年からは霞が関の農林水産省本省へ異動して幅広い業務を経験。現在は再び動物検疫所に戻り、危機管理課で主任を務めています。

危機管理課は平成22年の宮崎県の口蹄疫発生を受け、平成23年10月に設置された新しい部署です。防疫支援者の派遣や防疫資材の管理等、有事の際の危機管理体制を強化するために発足しました。私の業務は、有事に必要な人材の育成、防疫資材の備蓄・管理等の国内防疫支援のほか、不正輸出入事案への対応や、検疫に係る食肉処理施設の事務等です。水際での防疫のみならず、直接国内の家畜防疫を推進する部署で企画段階から参加できることに、大きなやりがいを感じています。

霞が関本省での勤務経験については、どのような感想をお持ちですか?

平成13年から平成22年にかけて、私は霞が関本省へ異動し、いくつかの課で仕事をさせていただきました。その中には「獣医師」の仕事と直接関係がないものもたくさんありましたが、その中で幅広い世界に触れ、人脈を広げることができたのは貴重な経験でした。このように、本人の希望によって霞が関本省はもちろん、他省庁、都道府県、独立法人、企業等、他機関の業務を経験できるのは国家公務員ならではのメリットだと思います。特に印象に残っているのは、消費・安全局動物衛生課勤務時に米国でBSEが発生したこと。当時私は外国との食肉の輸出入に関する交渉に携わっていました。「防疫」に関する交渉に直接関与することで日本の畜産業を守るという仕事は、本省でしかできないものであり、非常に勉強になりました。

仕事と家庭の両立で苦労されたエピソードなどありましたら教えていただけますか?

出産を機に本省から動物検疫所に戻ってきたのですが、妊婦での片道2時間半の通勤は正直しんどかったです。出産後職場復帰してからは職場の方々の理解をいただき、週2日の育児時間(16時までの勤務)を取得し、子どもを迎えに行っています。普段は主人が子どもを迎えに行ってくれるのですが、主人は成田空港の動物検疫所でシフト勤務をしているため、夜勤で迎えに行けない日に私が迎えに行くわけです。早く職場を出る日にもなるべく同僚に負担をかけたくないので、計画的に業務を行う、昼休みに仕事を進める、引継ぎをしっかりする等を心がけています。

現在も育児中とのことですが、どうやってリフレッシュされていますか?

今も通勤には片道2時間半かけていますし、仕事と育児を両立することには苦労しています。でも、仕事も家事・育児も両方好きなので、このまま頑張っていくつもりです。忙しい毎日の中でホッとする瞬間は、やっぱり家族3人そろって家でくつろいでいるとき。主人とは仕事の悩みや愚痴も好きに言い合える関係なので、それでストレスを発散できていると思いますね。そしてもちろん、5歳の子どもとふれあえることは、母親としてとても幸せな体験だと感じています。

これから獣医師を目指す学生さんや、現在活躍中の女性獣医師のみなさんに伝えたいメッセージをお願いします!

私は動物検疫所に採用後、様々な分野を経験することで広い人脈を築くことができました。特に、経営局や国際部等、通常獣医職がなかなか行く機会のない部署で得た人脈は、今でも貴重な存在です。「獣医職以外のいろんなことに挑戦したい」という人にとっても、チャンスにあふれた環境だと思います。

そして私は人生の伴侶も動物検疫所で得(意外と近くにいました…)、我が家は家事も育児も全て完全に夫婦で折半(高齢で遠方のため、祖父母の協力も皆無です)。こうして仕事を続けていけるのも、家族皆の理解と、動物検疫所の整った環境のおかげだと感謝しています。ただ、それに甘んじるだけではなく、100%の時間を仕事・家事・育児に費やせない分、努力や工夫を惜しまずやることにより、周囲の理解も得られるものだと思っています。これからも社会人として、妻として、母親として日々精進していきたいと思います。