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海外の珍しい病気が見つかったときなどは緊張が走りますが、
獣医師として知識を深め、成長できるやりがいも大きいです。

農林水産省動物検疫所神戸支所検疫課

出身大学:
酪農学園大学
卒業年次:
平成23年度(2011年)
現在の所属:
農林水産省動物検疫所神戸支所検疫課

卒業後現在までの略歴

平成23年4月
都内動物病院へ臨床獣医師として勤務
平成24年6月
都内動物病院自主退職
平成24年10月
農林水産省動物検疫所成田支所旅具検疫第2課へ臨時職員として勤務
平成26年4月
農林水産省動物検疫所へ本採用者として就職
平成27年4月
農林水産省動物検疫所神戸支所検疫課へ異動

動物検疫所に入った経緯を教えてください。

私は子供の頃から動物が好きで、小動物臨床がやりたくて獣医師を志しました。大卒後は動物病院で臨床獣医師として働き始めました。ところが動物病院の仕事は想像していた以上にハードで、1年ほど経った頃、「将来、子育てをしながら安定して働けるような職場に転職したい」と考え退職。ちょうどその頃、大学の先輩から動物検疫所の仕事を紹介していただき、臨時採用で働き始めました。動物検疫所では周りの皆さんがとても優しく親切でしたし、安心して長く働ける待遇も魅力的でした。自分の将来像を明るくイメージすることができる職場に巡り合えたことに、感謝しています。

現在のお仕事内容を教えてください。

家畜の伝染性疾病の発生の予防・蔓延の防止により畜産の振興を図ることが、動物検疫所の使命です。日々、畜産物の輸出入の検査、馬・犬など生きている動物の輸出入の検査を行っています。

前職(動物病院)とは全く違う仕事ですが、どこにやりがいを感じますか?

臨時職員として成田空港で働いていた頃は、犬猫などの小動物を検査したり、飼い主さんとお話するのが主な業務だったので、小動物臨床に近い仕事でした。しかし現在働いている職場では、船で運ばれて来た家畜や畜産物の検疫をしており、触れる動物も馬などの大動物がメインとなります。扱う対象物が「人の財産」となるため、より強い責任と緊張感を感じますね。仕事の面白いところは、病院内で完結する小動物臨床と違い、常に海外とつながりを感じながら働けること。臨床検査や精密検査、疫学など、幅広い仕事に触れられるところも魅力的です。海外の珍しい病気が見つかったときなどは緊張が走りますが、獣医師として知識を深め、成長できるやりがいも大きいです。

仕事の中で、女性ならではの苦労を経験したことなどはありますか?

女性だから不利と感じたことは全くありません。馬などの大きな動物に触れることもありますが、馬を押さえたりする力仕事は管理人さんにも手伝っていただけます。むしろ、女性ということで「話しやすい」と感じていただきやすいのか、皆さんとても親切にしてくださっていると感じます。小動物臨床でも動物検疫でも、動物を接する時間以上に重要なのは飼い主さんや管理人さんとのコミュニケーションだと考えています。そういった点では、女性であることをメリットととらえています。

将来的に、育児と仕事を両立したいと考えていますか?

できれば結婚してもこの仕事は続けていきたいと考えています。その点、公務員は産休・育休の制度がしっかりしていますし、復帰後には時短勤務で働くこともできるので、恵まれた環境ですね。ただし、やはり独身でバリバリ働いているのと同じペースで働くことは難しいものですし、そこで負い目を感じることもあるのでは、という懸念もあります。今いる職場は女性が多いので、みんなが同時に産休・育休を取得したり、時短勤務を選択すると人手不足になってしまう可能性もあります。育児しやすい職場づくりには、これからもみんなで取り組まなければいけないと感じています。

ストレス解消やリフレッシュの方法があれば教えてください。

体を動かすことが好きなので、ゴルフレッスンやホットヨガなどの習い事を楽しんでます。休日にもゴルフをしたりジョギングをしたり、意識的に身体を動かすよう心がけています。おかげで、ストレスがたまっていると感じることはほとんどありません。

今後の目標を教えてください。

動物検疫所では幅広い知識が求められるので、獣医学的な知識を深めていきたいです。同時に、家畜防疫官は知識だけでなく、畜産物や動物の所有者さんとの交渉力も必要な仕事。もっと経験を積み、どんなケースでも柔軟に対処できるような対応力・提案力も磨かなければ、と考えています。将来的には結婚もし、子育てをしながらこの仕事を続けていきたいですね。

これから獣医師を目指す学生さんや、現在活躍中の女性獣医師のみなさんに伝えたいメッセージをお願いします!

もし進むべき道に迷ったら、「自分にとって何が大切なのか」「今の仕事を一生続けていくことができるのか」を自分に問うてください。自分の心に素直に耳を傾け、自分の可能性を自ら狭めることをしなければ、自ずと本当にやりたいことが見えてくると思います。私の場合、小動物臨床がしたいという幼い頃からの夢に固執していた時期がありました。しかし、獣医師の資格を活かして活躍できるフィールドは多彩に広がっています。ぜひ、視野を広く持ち、チャレンジしてみてください。